首長が語る地方行政の現状と図書館への期待-名取市、小布施町、瀬戸内市の取り組みに学ぶ

首長が語る地方行政の現状と図書館への期待-名取市、小布施町、瀬戸内市の取り組みに学ぶ

  

日時:2012年11月20日(火) 13:00-15:00
場所:第10会場
主催 : 図書館総合展運営委員会
講師:
 佐々木一十郎さん(名取市長)
 市村良三さん(小布施町長)
 武久顕也さん(瀬戸内市長)
司会:
 岡本真さん(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 代表取締役/プロデューサー)

概要:全国各地で特色ある地域づくりを行っている自治体の市長・町長に各自治体における地方行政の戦略と、その施策における図書館の位置づけを語っていただきます。
フォーラム詳細:http://2012.libraryfair.jp/node/851
  

  

フォーラムの構成

  • 宮城県名取市市長から神奈川県災害ボランティアステーションへ楯の進呈
  • 本フォーラムの狙い
  • 宮城県名取市佐々木市長の講演「名取市の取り組み」
  • 小布施町市村良三町長の講演「協働と交流のまちづくり~まちづくりの第2ステージへ~」
  • 瀬戸内市武久顕也市長の講演「瀬戸内市のまちづくりと図書館~持ち寄り・見つけ・分け合う広場をめざして~」
  • パネルトーク
  • おわりに:司会の岡本から
      

その他の記録

宮城県名取市市長から神奈川県災害ボランティアステーションへ楯の進呈

  • 震災支援を振り返って神奈川災害ボランティアステーション代表からの言葉
    • 今後とも協力しながら名取市を支援していきたい
  • 名取市市長からの感謝の言葉
    • 図書館も地震で大きな被害を受けた
    • 世界中から支援をいただき感謝している
  • 司会・岡本から
    • 今回の総合展では展示ブースでも震災について特集している
    • 震災は東北だけの問題ではない、ひとりひとりの取り組みが重要
    • 展示にも足を運んでほしい
        

フォーラムの狙い

  • このフォーラムでは首長と呼ばれる方々を招いてお話いただく
    • これまでも図書館を重視する政策の方がたくさんいる・いた
    • 図書館総合展ではこれまでも首長を招いてお話いただいてきた
  • しかし、今日では
    • 県立図書館を縮小するという議論が展開されている
    • ひとつの自治体だけではない、全国的にそのような議論がおこっている
    • これからも、そのような流れになると予想される
  • 単に図書館を重視するだけでない、行政サービスのなかで図書館にどのようなことを期待するのか首長にうかがいたい
    • 地方政治を展開するうえで重要なこと
    • 図書館を最優先する行政より、全体を見渡したなかに図書館を組み込む行政が望ましいのではないか
  • はじめに、3人に地元の自治体の取り組みについて紹介していいただき、図書館政策についてお話いただく
      

「名取市の取り組み」佐々木一十郎さん(名取市長)

  

  • 未曾有の災害のなか、名取市の現状と図書館がどのようなことに取り組んできたか紹介
    • 図書館の被災状況、支援の状況についてお話したい
    • 図書館が無くなったあとで、どのようなサービスを展開していくのかもお話したい

  

名取市について/名取市の被災状況

  • 震災後人口は減少、しかし世帯数は増えている
  • 震災当日、街のひとたちは津波が来ることよりも、壊れた自宅について考えることで精いっぱいだった
    • その結果、津波が来る前に避難することが出来なかった
    • 津波はここまで来ない、という意識もあった
    • 津波にすぐ対応していれば、被害は少なくすんだかもしれない
  • 仙台空港は瓦礫の山に。全く使い物にならな状態
    • たまたま旅客機はとまっていなかったので被害は無かった
  • 周辺の農村地帯も水浸しに
    • 土台を残して跡形もなくなったしまった
  • 地元のお寺も、2軒あるうち一軒は流されてなくなってしまった
    • 墓石も流されてしまった
    • 津波自体ではなく、流されてきた家によって流されたようだ
    • 家が流されてくると、玉突きのようにして流れて行ってしまう
  • 老人ホームからお年寄りが救出されたのは震災から2日後
    • 自衛隊がなかなかたどり着けなかった
  • たまたまあった小高い丘にも、流された家が乗っていた
  • 閖上の街、本当になにものこっていない
    • 市長の自宅も瓦礫の山になっていた
    • 造り酒屋の煙突も倒れている
  • 名取市の水没地帯の地図、浸水率は28%
  • 津波が来たのが14:46で第一波が15:50くらい
    • 十分に逃げる時間があった
    • ここは津波はこない、という意識があったため被害が大きくなった
  • 911名が亡くなり、42人が未だ行方不明
  • 名取市に住宅のあった半分がなんらかの被害にあっているという状態
      

名取市の図書館の被災状況

  • 合併して使わなくなった市役所を使って図書館にしていた
  • 使い物にならないほど、建物が傷んでしまった
  • 書架はみんな倒れて、本は散乱していた
    • 足の踏み場もない状態
  • 大変な被害をうけたなかで多くのボランティアに来ていただいた
    • 仮設でも良いから図書館をつくりたい、ということをボランティアの方に協力していただいた
  • 5月10日に移動図書館の車庫だったところで臨時図書館をスタート
  • 使える資源は全部つかおうということで、屋外のスペースも活用した
  • 車庫のなかではお話会も開催し、多くの方に利用してもらった
  • 震災から7か月後、プレハブの仮設の図書館をスタート
    • 市民の方に立ち寄ってもらえるような施設がやっとできた
  • 東海大学チャレンジセンターをはじめとした団体の協力で、「どんぐり子ども図書室」を開館
    • saveMLAK,、宮城県立図書館、 神奈川などに協力いただいた
  • オープニングセレモニーの際には、親子連れの利用者が多く訪れる
    • 楽しみに待っていた利用者の様子、本当にうれしかった
  • H25年1月には「どんぐり・アンみんなの図書室」開館予定
    • おとなも使える図書館もつくろう、となった
    • 赤毛のアンをイメージしている
    • なぜアン?
      • カナダの連邦政府などから資金援助をいただき、東海大学にまとめてもらっている縁で
           

名取市の長期総合計画

  • 前回たてていた総合計画を計画している最中だったが、震災を受けて改訂
  • 震災復興も織り交ぜて長期総合計画を動かしていく予定
  • 図書館の位置づけ
    • もっと使いやすい場所に移していこうという方針
    • 名取駅の目の前に図書館をつくるという事で計画中
    • 駅前広場の根っこの部分になる予定
  • 新図書館のキーワード
    • やすらぎ
    • つどい
    • ひろがる
         

新図書館の構想

  

施設・人員について

  • 新図書館は3000平米
  • 開館時間は以前は9:00~18:00だったのを9:30~20:00へ延長
  • 各学校に学校司書をおいている
    • 効果はでてきているのかという疑問もあるが、おいている
    • 地元の司書資格を持っており、こどもの世話をしたいという方が結構いる
    • そういう方に、嘱託で働いてもらえれば良いと思っている
        

図書館ネットワーク

  • 市内大学・高専図書館との連携を促進するために図書館ネットワークの構築に力を入れている
  • 仙台市内の図書館とのネットワークの構築
    • みんなが使いやすネットワークを作っていきたい
  • 学校図書館とのネットワークの構築
  • 当たり前のことだが、こういったネットワークの構築を大事にしていく
       

おわりに

  • 司書に求める像について
    • 司書は人生のアドバイザーであってほしい
    • 司書は全資料のサーチャーたれ
      • どこにどんな資料があるか答えられる専門職であってほしい
  • 名取市では全国から、そして世界中の方から支援いただいた
  • この場をかりてお礼を申し上げる
       

岡本から

  • 市民の命を守ってこそ行政の意味がある、という言葉を思い出した
  • 震災の現場で役に立ったのは、公民館ネットワークなどの機能だった
    • 図書館にそのネットワークをどうやって取り入れていくか
  • 少しでも震災から学び次の被害を減らすということを考えていきたい
       
       

小布施町市村良三町長の講演「協働と交流のまちづくり~まちづくりの第2ステージへ~」

   

  • 小布施の図書館「まちとしょテラソ」は大きな街づくりの一環として捉えている
  • 街づくりは医療・介護・福祉など多岐にわたるが、今日は地域の振興という点に絞って話をしたい
      

小布施町について

  • 長野県の4つの平野のうち、上部の平野に位置する
  • ひとつの山と、ひとつの大きな川を有する
  • 面積は長野県のなかで一番小さい街
  • 大きな特徴は、「死んだ川と農業」
    • 渓流松川があるが、フナ一匹住めない川
    • こういうところで古来から農業を続けているので、米作りが出来ない
    • その土地で作れるものはなんでも作る、という農業
    • 付加価値を高くつくってくれるところにはどこにでも売るというスタンス
  • 江戸時代末期、経済発展のうえに文化を振興させ街づくりを行った
    • 幕末の豪商高井鴻山が招いた葛飾北斎などに親しまれ、貴重な文化を残した
  • しかし、明治初めの経済発展に取り残され、一時まちは衰退する
    • そのころから街づくりが意識されはじめた
    • すぐに小布施に外からお客様が来たかというとそうでもなく、徐々に情報発信などを行い知名度があがっていった
         

小布施のまちづくりについて

  • 近年、少子高齢化が進み若い人がいなくなってきた
    • その時期に、ひとつにビジョンを掲げたのが「文化一兆」
  • 新しい人をいれ、人口を増やそうという試みを実施
    • 子育て世代に住んでもらい、一緒に街づくりを行っていく
  • また、基金を使って北斎館を開館した
    • 昭和51年に開館
    • 当時、町立のこういった施設は珍しかったが、大変好評を得ることが出来た
  • 外からのお客様の受け皿となる栗菓子店が活躍してくれたのも大きい
    • それぞれの店が江戸時代から歴史があり、店舗や敷地空間などの背景から優れたサービスを行った
    • お客様に失望されることなく、喜んでいただけたと思っている
  • 昭和56年からは町並修景事業もスタート
    • 生活の構造の向上を目指しつつ、それぞれがwin-winになるよう町並を整えて行った
    • 世間に非常に評価していただき、それが住民にも良い影響を与えた
    • 景観に目覚めた住民たちによる花のまちづくり
      • まちのなかに花があふれている
    • 街のなかがきれいになっていく→お客様に喜んでいただく→住民のモチベーションがあがる、という良いサイクルが生まれていた
         

小布施町の合併と街づくり

  • 町長に就任したころ、小布施町は民間企業からは考えられない財政状況だった
    • 財政改革と行政の組織の改革の必要があった
  • まちの強みというものを守りながら、まちをもっとにぎやかにしていかなければならないと思った
    • 農商工連携、交流産業を行って町をおおいに発展させていく
    • 街中でにぎわいを起こして地域力をつける
  • 最終的には街おこしによって住民の福祉に供することが目的
  • 協働と交流のまちづくり
    • どこのまちでも言われていることだが、小布施では特に、もう少し戦略化して進めようと思った
    • そのために、4つの協働を設定
      • 住民と一体してことをすすめる住民との協働
      • 専門家・研究機関など先端をみるひととの協働
      • 地場企業との協働
      • 町外の優良でなおかつ志の高い企業との協働
    • まちづくりをすることで企業価値もあがる、とお願いして協働していく
    • 町民との協働について
      • 街づくり委員会というものを作り、6グループの部門から提言されたものは必ず採用するという取り組み
    • 研究機関・大学との協働について
      • 実際にまちのなかに入ってもらい、住民に認知してもらうのが重要
      • 大学同士の競いあいをしてもらい向上していく
    • 地場産業との協働・町外の優良で志の高い企業との協働について
      • まちの農業振興、生産者と消費者の仲介として、新しいビジネスモデルをつくってもらう
      • いまも声をかけており、これからは5,6社に協力してもらう
      • 大企業は協力してもらうのもなかなか難しい、鶴の一声で決まるような中堅企業が良いなと思っている
  • 小布施は観光業で食べているというひとはいない
  • 日本の観光業はなにか違うのではないかと考えている町民も多い
    • 本来の観光というのは、お互いの文化を交換し高めていくものではないか
    • そういった観光を小布施の住民は目指していきたいと思っている
         

まちとしょテラソについて

  

まちとしょテラソの経緯と特徴

  • 協働と交流の交差点、を目標にして運営
  • この街のまちづくりにおいて、図書館開館は30年来の悲願だった
  • 図書館の検討会を何度か行った後、平成18年に図書館建設運営委員会が立ち上がった
    • 何十回も議論を行ってきた
    • プロポーザルをした団体が100社以上
    • 館長には25人の公募が来た
  • 平成21年7月に待望の図書館が開館
    • まだ開館から3年くらいしかたっていないが、小布施では図書館が大ブレイク中!
  • 館長になった花井裕一郎さんは映像の演出家

これからのまちとしょテラソへの期待

  • 知・文化のナレッジセンターとしての機能
    • 美術館・博物館との交流・協議
      • まなび・子育て・交流・情報発信の場を目指して進んでいる
  • 図書館の発展はすなわち街づくりの発展である
  • 図書館が進んでいる限りは街も進んでいく
  • 重層性のあるまちづくりのために
    • 小布施流の仕立て
    • 田舎のなかのおしゃれ
      • 田舎であることを自覚しながらキラリとした街づくりを目指す
  • 素朴さと洗練と
  • 中心部から農村部へのグラデーション
    • 若い人の定住
         
         

瀬戸内市武久顕也市長の講演「瀬戸内市のまちづくりと図書館~持ち寄り・見つけ・分け合う広場をめざして~」

  

  • 実は瀬戸内市ではまだまだ図書館が出来ていない
    • 平成27年に開館予定
    • これからやってきたことが半分、ここからやっていきたいという妄想が半分でお話する
  • 図書館づくりやまちづくりにおいて、いくつか示唆を提供出来れば、と思いながらお話する
      

瀬戸内市について

  • 2004年に3つの自治他の合併で誕生
  • 若干人口は減少中
  • 岡山県の東南部に位置し、北西部は岡山市、北部は備前市と接する
  • 昔から朝鮮とのつながりが強いことが大きな特徴
    • この文化は日本にとっても、世界にとっても貴重なもの
    • この貴重な文化に関する資料は重視していきたい
  • 備前長船刀が発展しており、有名
    • エヴァとのコラボで、多くの来館者があった
        

瀬戸内市の図書館構想について

  • 瀬戸内市の総合計画「人と自然が織りなすしあわせ実感都市瀬戸内」が行政運営の根幹
  • 現在は図書館の基本構想をつくっているところ
    • 持ち寄り・見つけ・わけあう広場として図書館を計画中
         

新図書館の特徴

  • 館長候補を基本構想段階から採用
    • 市民一人当たりの貸出冊数などあらゆる数字が岡山県で最低
  • あまりに利用者が少ないので、住民にアンケートをとるのを意味がないのでやめてしまった
    • 市民病院が必要か、というアンケートはやったが、そもそも利用者の少ない図書館ではアンケートの意味がないと感じた
    • 無いニーズ、潜在的なニーズを掘り起こしするためのアンケートというものは意味がないと思っている
    • いまある図書館をみても、住民は図書館に関する事について判断できない
      • 来館者に対するアンケートは実施中
  • しっかりとした図書館を自らでつくる力量が無い状況
    • 図書館作ってから館長を採用する自治体もある
    • だが瀬戸内市の場合は、職員にそこまでの力量がないだろう
    • パワーのある館長に引っ張ってもらった方がいいものが出来る
      • 中身の詰まった図書館をつくりたい
      • そのためには、「中身を詰められる」人間が必要
  • 公募で来てくれた嶋田学氏に来てもらっている
    • 嶋田さんは実際に図書館をつくったことのある人材
      • その経験を活かして瀬戸内市の図書館を作ってほしい
    • 一般的には図書館は教育委員会配属になるところ
      • 図書館作りはまちづくりの一環としたかったため、市長部局の政策調整課に配属にした
      • 現在は図書館の建設などの段階に入ったため、教育委員会においていく
    • 箱モノをつくるのではなく、新図書館をまちづくり全体に活かしていって欲しい
  • 市民参画による計画策定
    • 基本的には、図書館のエクスパートによって、図書館の方向は定めるべき
    • 気付いてない部分を市民に肉付けしてもらうというのが参画の目的
    • 図書館に理解のある方、無い方…みなさんに納得してもらうためには、新図書館づくりのプロセスに参加してもらう
      • 手続きとしての市民参加が必要である
  • 図書館のある暮らしの現前化
    • 移動図書館の実施からはじめて、まずは図書館のある暮らしというものを認識してもらう
    • 学校図書館の巡回などを通して、子どもの教育を親にしてもらう
    • 現前化も図書館作りにおけるマネジメントの一環。市民に愛される図書館をつくるための取り組みである
  • 学校図書館マネジメント
    • 学校司書を配置し児童教育を徹底してもらう
    • 学校図書館について、ソフト面でも充実を図っていきたい
         

これまでの取り組み

  • 片山善博氏による講演
    • 瀬戸内市にゆかりのある人物でもある
    • 図書館は必要だという事を語っていただいた
  • 移動図書館の運用
  • …などなど、図書館開館に向けて気分を盛り上げている段階
       

最後に・ 図書館づくりとは

  • 図書館のアウトカムをなにと考えるか
    • 市民の貸し出し冊数か?…我々にとってはどうでもよいこと
    • 読書習慣の定着か?…それは学校図書館の充実を行えば十分ではないか
  • 成果として目指すものは「地域としてのイノベーション」
    • その場所としての図書館づくりをしていきたい
  • 建設予定地は、県立高校の隣、不登校の児童が通う場所など…いろいろなものが集まっている場所
  • 市民の人が自ら発見することの出来るイノベーション、学習のなかのきづきを得らるイノベーションなどを図書館の価値として提供していきたい
  • 瀬戸内市がどのような基本構想を作っているかはHPでも公開しているので、参考にしてほしい
  • 現在の状況
    • 議会からの承認を得た
      • いまの建物を取り壊す承認を得た
      • どのくらいの規模のものをつくるのか、これからが正念場
    • 施設としてあまり大きなものを作ることに対する疑問もあれば、長期的に使うために大きく投資するべきという意見などいろいろな考えがある
    • 図書館に行くだけで、いろいろなものを調べることが出来る環境をつくるためには2000平米は必要だと思っている
  • 財政的な制約のなかで、人的にサポートしていきながら頑張っていきたい
       
       

パネルトーク

  

岡本/図書館愛好家として、まずはここを聴きたいということがある。首長として政策的な判断をする際なにを重視しているかお聞きしたい。
なぜこの質問をするかというと、会場にも、図書館関係者の方も多いと思う。首長というのはどのような価値観を持って図書館を評価しているのか考えをお聞かせ願いたい。
  

名取市佐々木市長/図書館をつくった当時は、電子化はそれほど進んでいなかったので、本でしか得られなかった知識というものがネットで得られるようになってきた時期。目指していたものはマルチメデチア図書館。本に限らず、いろいろな形で知識を検索することが出来るという図書館を目指していた。今はネットが充実してきたので、いつまで印刷物が重視されるのかはわからない。しかし、自分は本を持ったときの重さというものを失いたくないと思っている。
  

小布施町市村町長/図書館をつくった当時、どちらかというと市民の強い要望があり作った。本当に図書館が必要だったのだと思う。「交流」という目的に際して、図書館が交流の場して良い場所が出来た、という評判ももらった。
  

瀬戸内市武久顕也市長/市民のうち子どもを第一優先、次が高齢者、次が地元で働く人たちへの貢献が優先順位として高い。
  

岡本/三者三様の意見でした。会場のみなさんにお願いしたい事だが、すべての街で、市長が同じ施策を出来るとは思わないでほしい。地域の事情を加味していかなければいけないということを理解してほしい。
  

岡本/図書館の民営化に際して、総合展の運営委員としては賛否を述べる立場ではない。が、図書館の民営化というのは財政再建のなかでかなり注目されており、そこに踏み出していっている自治体もある。図書館のような公共的なサービスを提供する施設の在り方はどのようなものが望ましいと考えているか。
  

名取市佐々木市長/国から地方まで行財政改革が求められており、コスト削減には頭を悩ませている。名取では給食センターをPFIにお願いするなどしている。誰がやってもある程度の成果が望めるものについては行政が直接する必要はないと思っている。では、図書館はどうかというと、ある意味定型業務でもあるので、民間にお願いすることも可能だろう。ルーチンワークに関する部分については民間にもお願いするかもしれませんが、根幹をなす部分は自治体がやりたい
  

小布施町市村町長/民間企業のちからというものは非常に多きいと思っている。いまのような指定管理や委託といった形での民間の参入は少し遅れていると感じている。もっと新しい民間の参入の形があるのではないか。そういう運営方法があれば、考えていきたい。  

瀬戸内市武久市長/民間を活用できる施設は活用しているが図書館は違うのかなと感じている。自治体と民間の間には契約関係があり、それは性悪説ではないかと思っている。行政と図書館が信頼関係をしっかりと築いていき、市民の皆さんの活用をいかに引き出していくかということを重視していきたい。瀬戸内市はいま3万人くらいなので、市民との信頼関係はまだ気づける規模だと思う。大きくなればまた少し検討が必要かもしれない。直営だからこそ出来ることというのはたくさんある。委託にする前に、直営のその力を十分に引き出せているかという事を問いかけて行きたい。
  

岡本/自治体の規模や事情によって、これらの方針は変わってくるもの。3人の意見がどの自治体にも適応できるものではないので、その点は会場のみなさんにも理解していただきたい。
  

会場の方から/学校図書館は図書館の内側にあるのか外側にあると考えているのかききたい
  

名取市佐々木市長/名取市ではすべての学校図書館に学校司書をつけている。本来であれば図書館と連携がとれていればよかったが、これまでは外の扱いだった。これから目指すところは、学校図書館も名取市図書館と一体の運営が出来ないか挑戦し、内側にしていきたい
  

小布施町市村町長/本来内にしていくべきだが、そうはなっていないのが現状。まちとしょテラソへ行きたいという児童が多いので、これから一体化させていきたいと思っている  

瀬戸内市武久市長/内だと位置付けてやってきている。子どもたちが興味のある本を一冊手に取るのを支援するのは学校図書館の仕事だと思っている。そこから、興味のない本にどう手を取らせるか、多様な資料を活用させるには、という学習効果を高めるためには学校図書館と市立図書館が連携していかなければならない。
   
   

おわりに:岡本から

  

  • 3自治体とも、素晴らしい街づくりを行い図書館を活用しようとしている。ぜひ一度足を運んでほしい
  • 今日聞いた内容について、ただなにも考えずに肯定するのではなく、自分の目で見て考えていくのを繰り返すことがこれからの図書館に重要
  • 専門職としての図書館員と、行政の職員が非常によい関係を持っているのが、3自治体の特徴
    • お互いに信頼して仕事をしているのが印象的
    • また、首長と話し合えていることも重要
  • ぜひ、自分の仕事場に戻った時に活かしてほしい
    • 図書館員と行政職の連携、協働、対話をするということを、このフォーラムの学びとしてほしい
        
        

フォーラムを聴いた感想

地方自治体の図書館政策に関する研究や事例は少ないため、市長から直接図書館に対する考え方や政策での位置づけについて聞くことの出来る本フォーラムは、非常に貴重な機会でした。3自治体とも、それぞれの自治体の背景に即した図書館作りに成功しており、一度訪れて、利用してみたいと思う図書館でした。
3自治体に共通しているのは、市長が街づくりに対する理念や理想をしっかりと持っておりそれを表現出来ていることであると感じました。街づくりに対する方針が定まっているからこそ、そのなかで図書館の機能を果たすためにどのような施設・人員が必要なのがという細部の決定までその意思が表れているのだと思います。
年々厳しさを増しているといわれる地方行政のなかで、図書館がその機能を十分に果たすには、司会の岡本から提案のあった通り、首長・行政職員・図書館員が信頼し合い、方向性を共にして街づくりを目指すことが必要だと感じました。
  
  
  

(執筆:山下聡子)